飲食業でのバイトテロはなぜなくならないのか

吹き荒れるバイトテロ

飲食店のアルバイト従業員が、お客が不快になるような不潔行為などを飲食店内で行い動画を公開するという、いわゆる「バイトテロ」が多発しています。

さすがに激怒している人が多いようですね。

ゆげしまとしても、そんなものが自分の口に入ると思ったら、ゾッとしますね。 

ただ、外食の値段を考えればあまり多くを期待することが間違っています。

外国人が日本に着て驚いたことの一つが、とにかく外食費が安いということ。
どこで飯を食べても、驚くほど安い値段で食べられる。
しかも、安くても大半の店が、まあまあ美味しい。

外国人から見れば考えられないことのようです。

裏を返せば、飲食店は、提供物や労力に見合う正当な対価をお客から受け取っていないのですね。
かといって、他の店が安いので、一つの店だけが正当な対価を受け取りたいと思って値上げしたらつぶれてしまいます。

しかし、本来はまともな従業員ばかりそろえて不満なく働いてもらおうと思ったらもっと人件費がかかるはず。
確かに、どんな安月給でも仕事をきちんとやるのが当然の義務だと考えて真面目に頑張る従業員も多いでしょう。

ただ、全員がそうだというわけではありません。

今の日本人の多くは昔ほど素朴ではありませんし、冷めたリアリストも増えています。

客を愛せなくなる従業員

わがままな客、立ち仕事、重労働、オーダー等時間に追われながらの仕事、それでいて労働に見合わない給与にイライラが募ります。

それでいて、気持ちのいい笑顔と朗らかな態度まで要求されたら、ふてくされてしまうでしょう。 

「あー、やめたい辞めたい。正直、店が無くなろうがお客や経営者のことなんてどうでもいいが、自分が辞めたらシフトが埋まらなくて仲間が困るだろうなあ。」
そう思って、辞めたくても踏みとどまっているだけかもしれません。
仲間の冷たい視線を考えると、辞意を伝えることに対しても大変なストレスが生じます。

しばらくは、いやいや仕事を続けることになります。

いつでも首にしろという気持ちで働くのですから、接客態度は横柄になるでしょう。

客に対しても、感謝どころか、苛立ちの気持ちしか湧いてこないでしょう。

給与とサービスレベルの関係

安月給であることと会社に迷惑をかけたり手を抜くことは別で、双方を結び付けるのは強引すぎると思われる方もいるでしょう。

伊藤元重という学者の経済学の本で紹介されていた話ですが、かつて、横柄でやる気のない従業員だらけの某国首都のホテル群の中で、きわめて高いサービスレベルを誇るホテルがありました。

従業員の質もぴか一でした。

他のホテルと何が違ったのか。

そのホテルだけ、他のホテルよりも給与がずっと高かったのです。

 損害賠償請求の是非

バイトテロに及んだ従業員を解雇し、損害賠償や刑事告訴などの厳しい法的手段をとることも経営者の取りうる選択肢の一つとしてはあり得ます。
不潔行為された店舗には数百万から数千万円単位での損害が生じたり、閉店に追い込まれたりすることもありますから、ダメージの大きさを考えると毅然と対応するのも理解できます。

実際に、ゆげしまが経営者の立場だったらやはり賠償請求しないと腹の虫がおさまらないと思います。 

ただ、そのように毅然と対応したとしても、根本的な解決にはなりません。
バレないようにこっそりとやられたらどうしようもないですからね。 

それに、ムチはアメとセットで与えないと副作用が大きいのです。

訴訟による毅然とした対応に加えて、速やかに従業員への待遇改善をして「従業員はわが社にとって大切な存在である」というメッセージを出しておかないと、真面目な従業員の気持ちも冷めてしまい、会社への忠誠心を大きく損ねる危険があります。

そもそも、採用の時に採用側が持った「こいつはやばそうだな」とか「なんか違和感あるな。」という直感はだいたい当たる。
多少やばそうな人でも採用してしまうのは、飲食は圧倒的に人手が足りないからです。

時給を上げてバイト希望者がたくさん押し寄せれば、少しでもやばそうなのは採用段階ではじくことができます。  

というわけで、究極的には、我々利用者が飲食費を今の倍ぐらい出さないと根本的な解決にはならないでしょうね。

飲食費が上がれば給料の原資になります。
給与が上がれば、多くの応募者の中から選ぶことができますし、下手なことをして解雇されなくないという気持ちも高まりますから、不届きな輩はだいぶ減るはずです。

 ゆげしまはあきらめています

もっとも、利用者の立場からすれば、金銭的にそれはきつい。
なので、ゆげしまとしては、安い飲食店では裏で何をやられているか分かったもんじゃないけど仕方ないとあきらめています。

相応の対価を支払わないのに安心や気持ちのいい接客を期待するのはムシが良すぎるからです。

その点、昭和の頃はみんな割り切っていましたね。

料理の中には店員のおっさんの唾液や鼻毛ぐらいは入っているかもしれないし、床に落とした野菜もさっと水を通して出されているかもしれない・・・

そのぐらいの覚悟をしていた人が多かった。
何があるか分からないというロシアンルーレット込みだけど、安い料金で飲食店を利用できるのであれば、今の状況を甘受するしかなさそうです。