黒髪の女と雪道怖い

トラウマドラマ

かつて、「ほんとにあった怖い話」というミニドラマ系のバラエティ番組があった。
正確には、今でも細々と特別編が放送されている。
この手のドラマ、普段は全然見ないのだが、たまたま漫然とテレビをつけているときに流れたのが「黒髪の女」というエピソード。
これがトラウマ級の恐怖だった。

私はホラーが苦手というわけではないが、それでも、かなりきつかった。

放送直後のスタジオの異常な反応

この番組では、スタジオで司会の稲垣吾郎君と一緒に子供たちがドラマVTRを見ているのだが、今回の「黒髪の女」は、VTRが終わった後、スタジオにいた小学生ぐらいの女の子の怖がりっぷりが尋常なレベルではなく、目を強くつぶり歯をガタガタならし、脂汗を流して震えていた。
いつもは冷静な稲垣君も、その女の子の反応に若干、うろたえ気味であった。
テレビ局のスタッフも酷い。

「あんなのを年端のいかない子供に見せたら虐待だろ・・・」と思わず呆れてしまったのを思い出す。

どんな話だったのか

松浦亜弥が演じる主人公の女の子が、隣家の玄関のピンポンを何度も鳴らし続ける「黒髪の女」に一言「静かにしてください」と注意したことで逆恨みされ、執拗に攻撃されるという話である。
この「黒髪の女」、たぶん幽霊だとは思うのだが、正体がよく分からない。

「黒髪の女」には異常な執着心や強い憎悪といった負の感情が感じられるので、人間らしさも多少残っている。

しかし、その顔はどう見ても人間ではない。

大きく見開かれた目は視点が定まらず、魚のような顔をしている。

どうやら意思疎通は無理っぽい。
これががひたすら自宅でお留守番中の松浦亜弥を執拗につけ狙うのである。

最悪なことに、松浦亜弥は、足を怪我してうまく動けない状態で一人ぼっちで自宅にいるという絶望感たっぷりの設定であった。
もっとも、この設定がうまく生きていたかどうかは若干、疑問である。
なぜなら、あんなのに追いかけまわされたら、例えケガ一つしていない状態の喧嘩無敗の大男でも、おそらく恐怖のあまり何も抵抗できずに失禁・失神するだろうから。

見てしまったことを心から悔やむ

私は映画などの残酷シーンも割と平気で、というかTVオンエア時にそういう残酷シーンがカットされていたらイラっとするタイプなのだが、このドラマに限っては、視聴してしまったことを心底後悔した。

しばらくは背後に何かがいるような気がして、トイレに行くのも、入浴するのも苦痛であった。
もっとも、私の場合、漫然とテレビをつけていたのが悪いので自己責任といえる。

一方、仕事でこんなものをスタジオで見なければいけなかった子供たちには心から同情する。

トラウマCM

もう一本、恐ろしい動画がある。
「雪道怖い」というCMである。

オートウェイという会社が雪道用タイヤを売るために作ったCMである。

こちらについては、検索すると簡単に出てくるので、内容についてはコメントしない。
恐ろしさのあまりとんでもなく有名になり、動画が世界中に拡散し、世界中のマスメディアで「怖すぎるCM」として報道された。

こちらも漫然と見ていたのでびっくり仰天。

二度と見たくないCMである。

YouTubeでは、過去に物議をかもしたTVのCMが編集されたものがよくアップロードされている。

覚せい剤やめますか人間やめますか、とか、児童虐待喚起のCMを集めた「CM集」だ。

これらのCM集の中に、「雪道怖い」がさりげなく紛れているのだ。

「雪道怖い」は、その他のCMと比べてぶっちぎりで怖い。

なので、単体で見ても十分恐ろしいのだが、CM集を漫然と見続けて遭遇した場合、他のCMとの落差から、余計に恐ろしさが際立つことであろう。

スポンサーの会社は良心的

それでも、このCMが良心的だと思ったのは、テレビでは流されずに、会社のサイトに行かないと見られないようになっていたことである。
しかも、CMの最初には、「心臓の弱い方は視聴をご注意ください」という注意喚起がなされている。

さすがにこんな恐ろしいものを茶の間に不用意に流したら、テロに等しい。
何の心の準備もなく茶の間で見た視聴者の中に、一人二人ぐらいは犠牲者が出るかもしれない。
そのぐらい途方もなく恐ろしいCMであった。