日韓の問題について思うところ(スルー推奨)

慰安婦問題日韓合意、徴用工判決、レーダー照射、ホワイト国からの除外等々、次から次へと日韓の関係悪化を示す問題が生じています。
この件について様々な人たちがいろいろなことを言っていますが、ニュートラルな意見は少ないように思います。
つまり、韓国を全面的に非難する論調、あるいは韓国の肩を持つだけの論調が多いように思います。

そこで、徴用工判決と慰安婦合意について、できる限り中立的に、悪く言えば、他人事風に突き放して論じてみたいと思います。


なお、こういう切り口で論じると、どちら側の陣営からも袋叩きにされるのですが、まあ仕方ありません。

この記事を読んでよかったと言ってくれる人は少数でしょうから、スルー推奨です。

 

徴用工判決について


(出来の悪い)元法学部生だった立場から純粋に法律的に論じます。
まず、韓国の裁判所が日本企業の賠償責任を認めた件については一概に誤りだとは言えないと思います。
韓国にも日本と同様に司法の独立がありますし、個人請求権の処分を政府が代行できないとか、国家間の条約によって個人の請求権が消滅しないという見解も国際法上、成り立つ余地があるからです。

なお、韓国政府が事実上のプレッシャーを韓国司法にかけているとか、そういう事実上の問題はとりあえず除外して理屈だけで論じています。

韓国の司法が元徴用工の請求を認めたこと自体は仕方がないのかなと思います。

 

ただ、日韓の間で基本条約が締結され、韓国政府が日本からの多額の賠償金を受け取ったのに、韓国政府はそれを被害者の個人救済に回さず、インフラ整備に使ってしまいました。
これとの整合性をどう考えるかです。

たとえ話で説明します。

今回の件は、雇用主(日本)が、アルバイト学生(韓国国内の個々の戦争被害者)に支払うべきお金(賠償金)を、アルバイト学生の親(韓国政府)に渡してしまったところ、その親(韓国政府)がそのお金を学生(個々の戦争被害者)に渡さずに生活費(国内のインフラ整備)など別のことに使ってしまったというケースに近いと思います。


お金をすでに親に渡した雇用主(日本)としては「お金はあなたの親(韓国政府)に渡したのだから、親からもらってよ」と言いたくなるでしょう。
しかし、そのような場合であっても、雇用主(日本)は、お金を本人(個々の韓国人被害者)に渡さなければならないのです。
もっとも、雇用主(日本)は、親(韓国政府)に渡したお金を親から取り戻す権利が残ります。

 

これを徴用工判決に当てはめます。
既に述べた通り、国際法上は、元徴用工が日本企業に直接、賠償を請求する余地はあります。
しかし、その場合、韓国政府が賠償請求された相当額を日本企業に代わって負担するのが筋なのです。

上の例で言うと、学生に渡すべきお金を誤って親に渡してしまった雇用主が、学生に再度お金を支払った後は、親に渡したお金を親から取り戻す権利があるのと同じです。

徴用工の人たちが日本企業を非難する権利はあるとしても、日本からお金を受け取り、それを被害者に渡さずにインフラ整備に使ってしまった韓国政府が日本を非難する権利はないはずです。


むしろ、韓国政府は日本に対して、「こちらの方で払っておきますので大丈夫です。日本に迷惑はかけません。」と対応すべきでしょう。

 

慰安婦問題の日韓合意について

 

慰安婦問題についてはアメリカが仲介してなんとか日韓で合意が成立しました。
わざわざ「不可逆的に解決」といった文言も入れられています。
蒸し返しは許されないわけです。


この合意を前提として、日本側は、①日本はこれ以上賠償する義務はない、②韓国は慰安婦像(少女像)を撤去すべきという主張をしています。


①については、徴用工の問題と同じです。
合意ができた以上、今後の賠償は全部韓国政府が責任をもって行うべきでしょう。

 

②については、ちょっと難しい。
慰安婦像(少女像)を撤去する権限が韓国政府等にある場合なら、韓国政府は撤去に向けた最大限の努力をすべきでしょう。
大使館前に像を立てることについては、韓国の国内法で対処できる余地があるという話もありますから、その話が本当であれば、韓国政府(あるいは韓国の自治体)にはもっと頑張って欲しいところです。
ただ、民間の団体があちこちに勝手に慰安婦像(少女像)を立てることについてまでは韓国政府としてはどうしようもなく、韓国政府の責任ではないはずです。

 

一方、慰安婦問題の合意が成立したことによって、日本側にも義務は生じます。


慰安婦問題が合意によって不可逆的に解決したとするならば、日本側で時々飛び出す「慰安婦問題は存在しない」「彼女たちは犠牲者ではない」「お金をもらって自発的にやっていた」といった主張もアウトということになります。
なぜなら、そのような発言は、合意に違反する「蒸し返し」にモロに該当するからです。合意は日本の責任があることを前提にしていますからね。

個々の民間人の勝手な発言を法的に禁じるのは難しいのですが、仮に国会議員からそのような発言が出たら、例えば、日本の国会はその発言者を合意違反として「辞任勧告」等の決議をするなど、何らかの対処をする義務を負うわけです。

公務員なら条約を順守する義務があるでしょうから、上記のような発言をしたら懲戒の対象になりえますね。
しかし、日本側には、そのような動きがイマイチ見られませんね。

 

まあ、日韓の問題のごく一部について自分なりに中立に論じたつもりですが、「どこが中立なんだ!」「頭悪い」という声が右からも左からも聞こえてきそうです。