得意科目だった数学でつまづく高校生

数学には適性がある

残念ですが、数学という科目は多少なりとも向き不向きがあります。
どうしても向いていないと思う場合は潔く数学はバッサリ捨てるのがおすすめです。
苦手なものを無理に克服しようとするより、その労力で文系科目を頑張れば、有名私立大学の文系に合格する可能性が出てきます。

 急がば回れもいい

一方、中学1年生あたりまではそこまで苦手ではなかったのに、2年生の半ばぐらいから徐々に苦手になり、そのまま高校生になって数学の苦手意識を引きずっているという人もいます。
この場合には、中学数学に戻ってじっくりやり直せば、克服できる場合も多いです。
むしろその方が早い。
急がば回れですね。

 得意な人でも落とし穴

そういう人たちとは違って、高校に入るまでは数学は好きで得意科目だったのに、高校2年生ぐらいで躓くというパターンの人もいます。

中学数学までは公式でも解法でも、苦労なく、ほぼ直感で理解できていたのに、突然「数学ができない人」になってしまったのですから、ショックも大きいです。

不思議なことに、こういうパターンの人は割と多いんですよね。

中学数学との違い 

中学数学とは違って、高校数学では、直感的にしづらい項目が増えていきます。

中学数学であれば、例えば、方程式なら「Xに当てはまる数」を当てればいいということですから、意味が分からないということはありません。
二次関数のグラフなども、二乗の数は1→4→9→16→25と急激に増えていきますから、「Xが増えるにしたがってYが急激に増えているんだな」などと直感的に理解できます。 

 一方、高校数学は、学習内容の癖が強くなってきます。

奇妙な内容の話がたくさん出てきて、直感的な理解がだんだん難しくなります。

指数対数関数あたりからぐっと理解しづらくなり、三角関数で、公式の数がとんでもなく増えて混乱していきます。 

そして、微積分でとどめを刺されます。

意味も分からずに公式に数字を当てはめて答えを出すので精一杯。
自分が理解できているのか理解できていないのか、もはやそれすら理解できなくなります。

 数学でつまずいた秀才

私の知人で早稲田政経を卒業した人がいます。
彼は頭がよく、複雑な構文の英文もスラスラ読めますし、難しい政治論文もたくさん読んでいます。
しかし、数学が残念な感じなのです。

大学入試では、数学が課されている大学は受けなかったそうです。 

そんな彼も、中学生の頃は数学は好きでした。
高校に入ってから、中学までのやり方が通じなくなってしまったというのです。

 彼は力説しました。

「中学生の時は数学は得意科目だったので、俺は頭が悪いわけではないのだ。」

「中学までは、教科書をざっと読めばそれなりに問題が解けたし、いったん理解したことを忘れることもなかったのだ。」

「高校に入っても同じやり方で通してきた。高校1年の時はそれでよかったが、2年になってから、突然、調子がでなくなってきたのだ。」

「もしかしたら俺は数学苦手になってるんじゃないか?と思い焦った。そんな経験をしたのは初めてだったのだ。」

「中学数学と高校数学は、どちらも数学を名乗っているけれども実は別の科目なのだ。」 

彼と同じような経験をしてた方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

こういった危険なパターンがあることを事前に知って警戒しておくことは大切だと思います。

やばいパターンに陥るのを防ぐ 

では、どうすればこのパターンに陥らずに済むのか。

一言で言うと、高校数学については、意識して泥臭くやらなければダメということなんですね。

高校1年生あたりまでほとんど苦労せずに数学を理解できていた人の方が、案外、数学の勉強の仕方が身についていなかったりします。  

高校数学は、そもそも理解することが難しいので、それまでのような「理解して解く」というきれいな手順が踏めないのです。

今まで数学ができていた人にとっては初めての経験なので焦ります。

しかし、よく理解できなくても、まずは問題を解けるようにして、繰り返して体で覚えるようにしなければいけないのです。

そうやっているうちに、染み渡るように徐々に腑に落ちていくのです。

高校数学にはそういうところがあります。
高校数学は暗記科目というわけではないけど、ちょっと暗記科目に寄っている部分がある。

というより、逆上がりのような体育とか、スポーツに近いのかもしれませんね。
頭にすんなり入らない異物を脳に押し込んでいく強引さも必要です。
頑張って、繰り返し練習して体で覚えていかなければいけません。

 できる人も要注意

そんなの当り前じゃないかと思う方もいるでしょう。

中学のころからそういう勉強の仕方をしてきた人は、高校でも継続してください。

ただ、高校に入るまで数学で苦労したことがないという人は、要注意です。
高校生になってはじめて、数学で「繰り返し頭に叩き込む」という今まで経験したことがない領域に踏み込まなければいけないからです。

 この記事で述べたようなことを意識することで、「得意科目だった数学に躓く高校2年」という残念なパターンに陥るのを防ぐことができるかもしれません。

頭の片隅に置いといてください。