受験英語攻略法

ゆげしまは中学受験の経験もないし、

高校受験についても、

自分が入れるレベルの公立高校に入るというスタンスだった。

なので、大学受験期まで、そこまで真剣に勉強をしたという記憶はない。

 

高校生1年生2年生のときは、

「入れる大学に入ればいいや」

というスタンスで、ろくに勉強をしていない。

 

そんな私も、ほんの短い間だが、

やる気になったことがある。

 

高校に入りたてのときのことである。

全校集会で先生が我々生徒にはっぱをかけるように、

「君らも頑張れば早慶に入れるんやで」

という発言をしたのだ。

 

私は単純だったので、

「そうなのか、頑張ろう」

という気になった。

 

しかし、集会が終わって教室に戻ると、

同級生たちの反応は冷ややかだった。

 

「うちの高校から早稲田や慶応に入れるわけねーじゃん」と。

 

実際、わが高校の早慶への進学実績は

お寒い状況だった。

 

私も、「そやな」と思い、

奮い立った気持ちが一瞬でしぼんだ。

 

その後、気が向いたときに授業をダラダラ聞くぐらいで、

ロクに勉強はしなかった。

 

中学校までは中間期末テストの前日に

教科書をななめ読みすれば理解できていた数学が、

高校だと理解できない部分が増えてきた。

 

高校2年生時などは数学のテストで2点をとってしまい

「進級できないかも」と青ざめた。

 

高校3年に入ってようやく真剣に勉強するようになった。

 

仲の良い同級生が有名私大を受けると宣言したから、

影響されてしまったのだ。

 

それまで、受験というものは、

自分の現時点での実力で入れるところを受けるものだと

思っていた。


入りたいところを先に決めて、

そこに到達するように自分の力を

強引に引き上げるという発想はなかった。

 

この同級生は英語が好きで、

自分でもコツコツと勉強していた。

校内模試などでは、かなり高い点を取れるようになっていた。

 

ある日、その友人に熱心に誘われて、

学校を休んで、一緒に有名大学のキャンパス巡りをした。

 

早稲田、明治、法政の各キャンパスの他、

なぜか東大キャンパスにも行った。

 

そうこうしているうちに、

こちらも受験を一生懸命頑張ろうという気に

なってきたのだ。

 

その気にさせられたのである。

 

当時の私の英語の実力は、

高校入学時よりもむしろ下がっているレベルだった。

 

英語については、

まずは中学3年生レベルの文法からやり直しである。

 

文法のような決まった処理手順に従えばいいものについては、

本をちゃんと読んで一生懸命考えれば答えが見つかるので、

割と気楽だった。


もっとも、分厚い文法書は読む気にならなかったので、

薄いものを最初に読んだ。

 

そのあとは伊藤和夫という人が書いた

「英語構文詳解」という本にはまった。

 

なぜこの本を選んだのか、

今となっては全く思い出せない。

しかし、この本が大当たりだった。

 

この本は、短めの英文をバラバラにした

パズル問題がたくさん載っている。
並べ替えて、元の文章を復元するという問題だ。

みごとにハマった。

 

それまで読んでいたどんなマンガとかよりも面白く、

一日中、考え続けた。

 

並行して、単語とか熟語も覚えていった。

 

暗記ものは苦手だったが、

「英語構文詳解」という本が性に合ったので

「英語は俺に向いている」という根拠のない自信がついていた。

 

おかげで何とか食らいつけた。

 

受験英語の勉強が性に合いすぎて、

勉強や努力しているという意識を持たないほどであったが、

客観的に見て、高校3年生からの半年間は、

平日は6時間以上、

土日はほぼ一日中英語を勉強していたと思う。

 

同じ著者による「英文解釈教室」というのも読んだ。

「英語構文詳解」をきちんと理解すれば、

ほぼその発展応用系の本なので、

そこまでの苦労はなく、むさぼり読んだ。

 

最近は受験英語もかなり実用英語寄りになってきている。
いい傾向だ。


しかし、一昔前の受験英語

英語という素材を使った「パズル競技」だった。

 

このあたりの本を終わらせた後は、

校内の模試では偏差値83とかとんでもない数字が出た。

 

長い英文をたくさん読むというやり方をとらなくても、

文法的な分析のスピードをあげていくことで、

長文読解にも対処できた。

いつの間にか、英語を熱心に勉強していた

友人の成績を超えていた。

 

とはいっても、他の科目がダメすぎて、

結局浪人したんだけどね。

 

浪人時は、比較的偏差値が低めに出る駿台全国模試でも

英語については偏差値70以上をコンスタントに出せるようになった。

 

1年浪人したが、最終的に希望する大学に入ることはできた。

現役で慶応に入ったビリギャルさんからみれば、

カスみたいなものかもしれんが、

わが高校では結構な快挙だったと思う。

 

ちなみに、それまでは1桁ぐらいしか

受かっていなかった早慶に、

うちの学年からは数十人出ていた。

 

大学に入ったら、もっと英語を頑張って武器にしよう。
そう決意した。

 

しかし、結局、大学に入った後、

英語はほとんど勉強しなくなり、さび付いた。

 

私は、文法パズル的に英文解釈していく

スピードを上げることで英文を読めるようになった。
受験英語の読み方である。

しかし、英語が得意な人がやるような読み方、

つまり、もっと英語の語感を理解した感覚的な読み方が

最後までできるようにはならなかった。

 

大学の授業で使ったペーパーバッグでは、

容赦なく難単語が使われていた。
まったく歯が立たない。

予習をしても辞書を引いているばかり時間が異常に長い。

すっかり嫌気がさしていた。

 

受験英語がいかに離乳食のような甘い代物だったのかを痛感した。

万能感も消し飛んでしまった。

 

そこでファイトを掻き立てられるのではなく、

やる気をなくしてしまうのがゆげしまなところなんだね。

 

ゆげしまは、寝食も忘れて一気呵成に仕上げるのは割と好きだが、

時間をかけてコツコツというのが苦手なのだ。

 

こういうのって、

習得に時間がかかるようなスキルを身につけるためには、

致命的な弱点になる。

 

今でも、大学受験の試験問題のような英文は読めても、

ウェブに書いてあるような自然な英文には苦戦する。

 

英語の掲示板に書かれているような、

ネイティブによる文法的な厳密さに従わない書き込みなどは

読んでもいまいちわからない。

 

一方、英語を熱心に勉強している友人は、

その後、英語を仕事にしているようだ。

 

こつこつと継続していくことがいかに大切かだね。