社会人になってからの勉強

私の妻は学生時代はそれほど勉強が

得意な方ではなかったという。

妻は大学受験を経験していない。

 

妻の頭の回転は速い方だと思うが、

今でも数学や英文法みたいなものは

中学レベルもかなり曖昧っぽい。
まあ、平均的な日本人の学力レベルと言ってもいいだろう。

 

しかし、妻は大人になって覚醒した。
簿記2級と宅建は一発で取った。

さらに難易度が高い国家資格も一発合格している。

 

資格の勉強の内容は難しく、

制度が立体的に入り組んでいて、

理解が難しい箇所がいくつもある。

 

それでもちゃんと理解して、

マスターして合格している。

 

社会人になってから妻が賢くなって

本来の力が開花したという見方もできるだろう。

ただ、本人に言わせると、どうやらそうではないらしい。

 

点数の取り方がわかったからなのだ。

 

学生の頃は、オーソドックスなやり方をしていた。

 

講義をしっかり聞いて

テキストを読んで

腕試しに問題を解く

 

という方法だ。

 

しかし、社会人になってからの彼女は、

やり方を大幅に変えた。

 

講義のCDを倍速で聞いて、

テキストの理解はほどほどに、

問題集、それも過去問集を

ひたすら読書していくという方法だ。

 

出そうな問題と解答、解説をセットで読み、

パターン認識していく。

このやり方を高速で回すのだ。

 

高校生までは、正攻法でやることが美徳とされている。

 

しかし、資格試験になると、

講師などの指導者から美徳や道徳ではなく、

「受かってナンボ」

「結果がすべて」

「効率最優先」

の指導を受ける。

 

学生を相手とする学校の先生とは違い、

資格試験の講師は大人相手なので、

 

建前ではない、むき出しの本音

 

で話すからである。

 

私の妻はリアリストなので、

そういう本音まるだしの指導の方が肌に合ったのだ。

 

社会人が大学を再受験すると

学生時代よりもずっと合格しやすい

という話をよく聞く。

 

社会人は学生時代よりも脳が成熟するというのも

理由の一つだろうが、一番の理由は、

社会人は徹底して合理主義をとるからだろう。

 

問題集など、初見の際には、少しだけ考えて、

さっさと解答や解説を一通り読書しちゃう方が

ずっと早いからね。

 

そして、解説を読んでも分からないところは

ほどほどに考えて飛ばしちゃう。

 

分からないところを飛ばしても、

少し先の類題のところでばっちり理解できたり、

二回目、三回目は難なく理解できたりする。

 

学生時代はそういうところにぶつかると、

いつまでも分からないまま悶々としたり、

気力を削がれて停滞しちゃいがちだよね。


それから、社会人のもう一つの強みは、

時間感覚が学生とまるで違うというところだろう。

 

1冊の受験参考書を渡されて、

2週間ぐらいで全部読み切ろうとする高校生は少ないよね。


なぜなら、高校生には、

1冊の参考書は1年間かけて理解するもの

という思い込みがあるからだ。

 

でも、社会人の時間感覚だと、

とりあえず2週間ぐらいで読み切っちゃうんだよね。

 

そのあと、何度も何度も回す。
分かる領域が少しづつ広がっていく。

 

そういうせっかちな時間感覚で勉強する。

 

そういう時間感覚の面でも、

社会人になっての資格の勉強は、

妻にとっては性に合っていたんだろうね。