学歴必要論者と学歴不要論者の不毛な争い

「学歴は必要か」という神学論争

世の中には、数十年たっても結論が出ない
神学論争というものがあります。

例えば、「学歴が大事なのか」という議論です。

そりゃあ、タダで一流大学卒の学歴をくれるなら
拒否する人はいないでしょうし、
学歴は無いよりはあった方がいいでしょう。

しかし、通常はお金だったり労力だったり、
時間だったり、多くのものと引き換えにしなければ
学歴は手に入りません。

そうすると、
「それらの労力に見合う価値が学歴にあるのか」
という形の問いになるのです。

人によって答えは分かれるでしょうね。

学歴による有利不利

冒頭の問いも、ちょっと角度を変えて
「学歴がない人は人生を挽回できないのか」
とか、
「学歴のない人は不利なのか」
という形で問いかけもできます。

学歴がなくても成功する人たちは
いつの時代にも一定数いることを重視すれば、
学歴は必須ではないという答えになるでしょう。

もっとも、学歴があればあるほど、
収入や職業の選択肢が増える傾向は
統計的には否定できません。

そこを重視すれば、
少数の例外を見ても仕方がないとか、
学歴がないと挽回は難しくなる
という答えになるでしょう。

人は自分に心地よい回答を選ぶ

それから、こういう問いに回答する人は、
自分のアイデンティティを強化する方向の回答、
自分にとって心地の良い回答をする傾向にあります。


「学歴なんてあっても仕方がない」
という意見に対して、ありがちな批判が、
「そういうことを言う人は、努力してこなかった自分
学歴がない自分を正当化しているだけ」
というものです。

 

今の自分を正当化するために
学歴不要論を唱えているのです。

 

しかし、こういった傾向は、
学歴必要論を唱える人たちにもあります。

なぜなら、学歴のある人は、「学歴は必要」とか「重要」と
いう回答の方が、今の自分を肯定できて心地よいからです。

AIの発達→学歴不要論

最近は、別の角度から
学歴必要論と不要論の論争が起きています。

AIの発達と知識社会の到来です。

今後、AIが爆発的に発達していくことにより、
従来のような知識を詰め込んだりする方法では
太刀打ちできなくなるという面から、
学歴不要論が唱えられています。

もちろん、受験勉強は単純に知識を詰め込むだけではなく、
抽象的な思考力も相当要求されるのですが、
そういった能力すらも、AIの発展により
相当程度代替されることが予想されます。

オペレーションの高度化→学歴必要論

逆の見方もできます。

未来社会ほど、さらに高度の知識や知的能力が
要求されるようになると言われます。

例えば、コンビニの店員は、
昔はそれほど難しい仕事ではないという印象でした。

しかし、今やオペレーションが相当複雑化し、
頭の回転の速さがかなり求められていると言えます。

現場で働く人たちも、これからの社会では、
勉強をして知識をアップデートしてく習慣が
必要になると言われます。

この習慣は、かなりの程度、受験勉強を
することで身につけることができます。

そういう意味では、
学歴必要論に結び付きやすいですね。

私見

私見を述べておきます。
基本的に、これからは、
一流大学の学歴があっても
学校名に見合った実力がないと
意味がなくなると思っています。

逆に、学歴はなくても、
実力があれば足りると思っています。

新卒で一流大学の学生が有利な理由

今までは、形式だけでも学歴があった方が有利でした。

特に新卒時の学歴パワーは強いものがありました。

学歴のある人は、学歴のある人に親近感を持ちます。
一流企業の人事担当者は学歴がある人が多いので、
一流大学の学生に親近感を持ちます。

人は、結局、自分と似たような人を仲間にしたいのです。

通常、一流企業の従業員は、
暴走族か?というような姿の人とは
一緒に働きたがりません。
暴走族の人のIQが一流大学の学生以上であってもです。
自分と異質な人と働くのはストレスがたまるのです。

これは、人事担当者や既存の従業員の
わがままみたいなものです。

そういうテキトーな運用が通用していたのは、
今までは競争がぬるかったからです。

今後は流れが変わると予想

しかし、今後は、競争が激しくなります。
シビアに能力、実績が問われます。
本当に力がある人を取らない会社は淘汰されるでしょう。

また、今後はAIの発達によって、
大学名に頼らずに、志願者の地頭や事務処理能力が
かなり正確に判断できるようになるでしょう。

頭の良さにしても、「言語性」「動作性」など、
細かく見ることができるようになりましたからね。

今までは本人の能力の判断が難しかったため、
学歴を高い人を採用しておけば統計的に
地頭がいい人が取れる確率が高いということで
仕方なく学歴重視の採用だったわけです。

しかし、あくまでもこれは便法です。

高い精度で本人の能力が判別できるのであれば、
そんな間接的な方法ではなく、
学歴などをみないで、ずばり、
能力が高い人を直接判断して
採れば足りるはずです。

まあ、物事の運用には「慣性」の法則が働きますから、
当面は、今までの運用が続くでしょうが、
変わっていくのは時間の問題だと思っています。