首相官邸による質問制限について

首相官邸が、東京新聞の某女性記者を想定した質問制限を求める要望を記者クラブに出したことが物議をかもしている。
ゆげしまも、実際にその記者が質問する動画は見ている。
安倍政権に反対するリベラルにとっては痛快なのかもしれない。

しかし、率直に言うと、某記者の質問は自説を縷々と述べる時間が多く、質問の体をあまりなしていないような気がした。

本来、記者会見は質問される側の回答を知るための場であって、公人ではない記者の政治的な意見を延々と聞かされる場ではないと思うからだ。


財務省理財局長の証人喚問の時の自民党丸川珠代議員による「安倍総理からの指示はありませんでしたね?」というまんま誘導尋問にもずっこけたが、あれも保守側からは大絶賛だったそうである。
うーん・・・
リベラルも保守も自分に近い立場の人には甘いのね。

 

で、質問制限の話に戻る。
ネットでは、首相官邸側からの質問制限を支持する声が多い。

うーん・・・

傲慢な言い回しで申し訳ないんだけど、日本人は世界的に見ても、歴史や地理には詳しくて教養豊かだと思うんだが、この問題へのリアクションを見ていると公民については中学生ぐらいの知識もないかも。

大河ドラマの人気が高いこともその表れだけど、世界史の知識ですら、欧米の人よりも日本人の方が詳しいことがあったりして驚かれたりするようだ。
一方、公民はどうだろう。
民主主義やら立憲主義については、日本人の平均層の理解は欧米先進国とはあまりにも異質で、逆の意味で驚かれたりする。

まあ、それもわかる。
歴史こそが社会科の主役。
地理が準主役ぐらい。
公民なんてマイナー科目だしね。

歴史に詳しい人は一目置かれるし、楽しいうんちくをたくさん披露してくれる。
一方で、公民に詳しい人が立憲主義だの権力分立などと言っても、「面倒くさい人」とか、「え?そっちの人?」という扱いをされてしまう。

ゆげしまも、法律は大学で専攻したので、公民については平均よりは理解しているつもりであるが、歴史はかろうじて人並み。
地理は小学生ぐらいの知識で止まっている。
理科の知識についても、ここ最近のやり直し勉強でだいぶマシになってきたとはいえ、かなりひどいもんだった。
本来は、ネットの反応に対して偉そうにマウントを取る資格などない。

ただ、そうはいってもね。
ごめんなさい、やっぱり言わせてください。

仮に、マスメディアや勘違い記者によるしょうもない質問があっても、それをダメだと判断するのは国民であって、報道される側に判断権を与えるのは手続きとしてはやっぱりまずいでしょう。

野球で特定チームに、気に入らない審判を拒絶できる権利とか与えちゃったら、競技の公平性は失われますからね。

何十人も記者がいれば、1人ぐらいは要領を全く得ない質問をする人がいても、おかしくはない。
プログラミングなら変なバグがあったらシステム全体が止まってしまうが、記者との質疑応答の場合、微妙な空気になるぐらいで、記者会見全体が台無しになってしまうわけではない。
イレギュラーな質問者への対応を見ていても、案外、回答をする側の人柄とかがわかったりするから全くの無駄ではない。
むしろ、堂々と答えれば回答者の株が上がることだってある。
特定の記者がいかに官房長官やその支持者をイライラさせたとしても、そのイライラは、民主主義に伴うコストだと思って耐えるべきだと思いますよ。