野党不人気の理由

ずいぶん長いこと、野党の不人気が続いている。
政権側も万全の運営をしているとは言い難いが、それでも野党支持につながっていない。

野党が不人気の理由についてはいたるところで書かれており、それだけで記事がいくつも作れるぐらいである。
が、ここでは一つだけに絞る。

一番大きな理由は経済政策であろう。

国民は、一にも二にも、生活の安定を望んでいる。
政治に求めることは、経済政策が8割である。

もちろん、外交や防衛問題、人権問題も大事である。
実際、ネットでそういった議論について白熱したバトルが繰り広げられている。

しかし、ネットで政治の議論をしているような人たちは少数である。
殆どの人の関心事は、経済の安定である。

経済がうまく行っていたら、他に不満があっても、まあ、許せてしまう。

経済政策は七難隠すのである。

日本では新卒と同時に正社員になれなかった者は、大きなハンデを負う。

職を失った者は、経済的な安全だけではなく、自尊感情まで大きく傷つけられる。
家族からも、世間からも、非常に厳しい目で見られる。

お金がない生活がどれほど悲惨なことになるのかは、漫画のウシジマくんでも読んでみればよくわかる。

この点、現政権はいろいろ問題があっても経済の安定については、少なくとも野党よりはうまくやる能力があると思われている。
アベノミクスの実効性については批判も多く、化けの皮が剥がれてきたなどと揶揄する声もある。

現実にどうなのかは、的確に判断して説得力のある解説をするだけの能力はないので差し控える。

しかし、「一般国民から見て、少なくとも外形上は、野党よりは与党の方が経済についてうまくやれるように見える」ことについてまで反対する人は少ないであろう。

これは与党にとってはとてつもなく大きなメリットである。

野党には高学歴で素晴らしい経歴の方々が多い。
単純な頭の良さで言えば、二世三世議員が多い与党自民党よりもメンツがそろっているともいえる。

ただ、残念ながら、野党議員が経済政策に関心を持っているように見えないのだ。
リベラルの人たちには、「経済には興味が無い」とはっきり言う人も多くいる。
むしろ、お金の話をするのは汚いとか、人権や平和に比べれば些細な話である、いざとなったらみんな仲良く貧乏になればいいなどと言って、経済の話を嫌っているようにも見えてしまう。

そうして、アベノミクス批判を繰り広げる。

実際にアベノミクスがダメな政策のかどうかは分からない。
あるいは、大したことがない政策なのかもしれない。
ただ、仮にアベノミクスが実際には大したことがないとしても、「野党の経済政策と言えばこれ」みたいなものが皆無である以上は、他に選択肢がないのである。

考えても見て欲しい。

あなたが発展途上国の僻地の村に住んでいるとする。
近くで売っている石鹸は1種類しかない。
泡立ちが悪いなど、多少の不満はあるが使えないこともない。

ここで、別のもっと良い石鹸があったら、そちらに乗り換えることができるだろう。

しかし、そんな石鹸は存在しないのだ。
「石鹸を使うのは止めてしまえ」と助言をくれる人はいる。
しかし、その人も、別の石鹸をあなたに用意してくれないのだ。

こんな状況であは、石鹸を使い続ける他ないであろう。

野党議員も頭がいい人たちがそろっているのだから、何年かかけて地道に政策を磨いてほしい。
競い合うようにマクロ経済を勉強し、我々国民にしっかりとしたビジョンを示して欲しい。