人を雇わないという決断
人手不足が深刻化しています。
これがアベノミクスの成果によるものなのか、あるいは単に労働者人口が減少しているからなのかは、ここではおいておきます。
ゆげしまは、零細事業所の共同経営者だったこともあります。
数人の事務職員を雇用していました。
介護業界や保育業界などとは違い、事務職については比較的人が集まりやすいでしょうが、いずれ人が採れなくなるのは時間の問題でしょう。
そうなると、人を採らないでも事業所が回っていくようにするのが理想でしょう。
さすがに大きな顧問先や膨大な仕事をこなすような職場では不可能でしょうが、零細ならコストをかけないのが大事です。
人を雇うというのは一大事業です。
正社員だったら、結婚に匹敵する決断です。
社長の他に社員が一人しかいないような零細であっても労働基準法は容赦なく適用されますから、採用した後に、うーん・・・どうも相性が劇悪だ・・・と判明しても、お辞めいただくというわけにはいかないのです。
そのあたりは、結婚した後に性格の深刻な不一致があったとしても、結婚相手の同意がなければ容易に離婚できないこととよく似ています。
というわけなので、人を雇わないで済むのであれば、できる限り、一人でやれるところまでやってみる方がいいのです。
外回りをする場合には、当然、事業所はお留守になります。
不在時の電話対応のためには、電話秘書サービスを使います。
月額1万円+α程度です。
しっかりしたビジネスマナーを身につけたスタッフが、丁寧な対応をしてくれます。
FAXを使っている事業所は減ってきましたが、官公庁とのやり取りで必要となる場合があります。
eFAXサービスを用いると、外出先でもFAXの確認が可能なので、出先からすぐに対応できます。
取引先からのメールついても、Gmailが普及してくれたおかげで、いちいち事業所に戻らずとも外出先から返信できるようになりました。
スマホ、あるいはスマホ+Bluetoothキーボードで返信できます。
会計ソフトの進歩のおかげで、経理を置かなくても何とかなるようになりました。
以前だったら、人を雇わなければ対応が難しかったことが、テクノロジーの進化によってなんとか一人事業所でも可能になってきました。
一人事業所でもこなせる業務量がかなり増えました。
ただし、業務を拡大してくと、人を雇わないままではいつか限界は来ます。
土日返上で頑張っていても、限界はきます。
そのときに決断を迫られるのです。
仕事の依頼を断って身の丈に合った範囲内でやっていくのか。
あるいは、人を雇って業務を拡大するのか。
いちど人を雇ってしまった後に、やっぱり事業所を縮小するから退職してください、というわけにはいきませんからね。
しつこいようですが、重要なことなのでもう一度言います。
人を雇う際には、結婚に匹敵する決断が必要になるのです。
もっとも、その辺について実に軽いノリで人を雇ってしまう社長さんも多いんですよねえ。
昭和だったら、「お前なんか首だ。明日から来なくていい」と言われて、そのまま退職してくれたかもしれません。
今はそんな簡単には辞めてくれませんからね。
正社員として採用するのではなく、雇用期間を区切って採用し、相性が良ければ社員として本採用という方法もあります。
この方法をとれば、採用した人と相性が悪いと感じた場合に、期間満了で退職してもらうことができます。
ただ、今は売り手市場ですから、最初から正社員という条件でないと、なかなか人は採れなくなっていますね。
この傾向は今後、さらに強まることでしょう。
そう考えると、人を雇うということは、後戻りが難しい選択なのです。
ゆげしまが共同経営していたところでは、業界の環境の悪化で仕事の受注量が減ったり経営者の一人が過労で倒れるなどして、従業員の雇用を維持していくことが難しくなりました。
積み立てていた退職金やボーナスの上乗せ等、一人当たり数百万円をお支払いして、従業員の方にお詫びをして、退職していただきました。
人を雇用するのは本当に大変です。
人を雇うときには、きちんとした覚悟を持つべきでしょうね。