優しい人は損をするのか得をするのか・・・建前抜きの本音の話

他人に優しい人、いわゆる利他的な人がいます。
こういう人は、自分を犠牲にしてでも他人のために尽くしり、そこまでではしなくても、PTAの役員のような嫌な仕事を引き受けて黙々と頑張ったりします。
一般的に利他的な人は、他人のことを信用する傾向があります。

一方で、自分のことしか考えない人、いわゆる利己的な人がいます。
そういう人は面倒なことは人に押し付け、人から何かをもらったり親切を受けることはしても、人に何かを与えるとか損をするようなことはしません。
利己的な人にとっては、家族やごく親しい人たちを除いては、基本的には他人は信頼できる相手ではなく、競争相手です。

では、利他的な人と利己的な人、トータルではどちらの方が成功を収めるのでしょうか。
精神的な満足とか心の幸せみたいな見方や建前を一切除外して、単純に得られる収入だったり地位だけで見た場合、利他的な人と利己的な人、どちらのタイプの方が勝ち組になるのでしょう。

海外には、こういった問題について学問的に研究している人たちがいます。
したがって、この問題については、ある程度信ぴょう性のある答えがあります。

結論から言うと、利己的な人は、勝ち組にはなれません。
利己的な人が高い収入や地位を得る可能性は低いのです。

勝ち組を見ると、案外、利他的な優しい人が多いのです。

ただ、ここが残念なところでもあるのですが、収入が非常に低く苦しい層、こういう言い方すると申し訳ないのですが、いわゆる負け組にも、利他的な優しい人が多いのです。

つまり、勝ち組と負け組の双方を、優しい人が占めるわけです。

一方、利己的な人は、勝ち組になりにくい一方で、負け組にもなりにくいのです。
利己的な人は大きく失敗することもなく、真ん中あたりのポジションにとどまることが多いということです。

まとめると、利他的な人は、勝ち組か負け組になる。
一方、利己的な人は、勝ち組にも負け組にもならない。

では、利他的な優しい人の中で、勝ち組と負け組に分かれるポイントはどこにあるのでしょうか。

これも結論から言ってしまうと、勝ち組になるのは、新しく人間関係を築くときに、他人に対して過剰な警戒心や敵対心を持つことなく、優しくするところからスタートするけれど、いったん信用できないことがわかった相手に対しては、距離を置くことができる冷静さを持っているタイプです。

一方、負け組というか、悲惨なことになってしまうのは、何をされても人にどこまでも優しくするようなタイプです。
裏切られてもすぐに許してしまうようなタイプ、恋愛関係で言えば、だめんずという人たちですね。


勝ち組に見られる態度、基本的には人に優しくするところから入り、裏切られたら距離を置くという態度は、理にかなっているのです。


人間社会では、どんな能力が高い人でも共同作業を拒絶して個人プレーに徹していては大きな成功を収められません。また、取引でも人間関係を築くときでも、強い不信感から入ると、ものすごいコストがかかってしまうのです。
ここが、他人を競争相手とみなして不信感を持つことが多い利己的な人が、なかなか勝ち組になれない理由です。

さすがに、良く知らない人に大金を貸したり保証人になったり、あまりにもリスクが大きな事業をすぐに始めるようなことはお勧めできませんが、勝ち組になるような人は、基本的には、他人に過剰な警戒心をもったりせずに、優しくするところから入ります。

もっとも、際限なく優しくしていたら、自分勝手な人たちに利用され貪り食われるだけです。
そういった自分勝手な人と親密な関係を続けることはリスクにしかなりません。
したがって、相手がそういう勝手な人間だと判明した場合には、躊躇なく人間関係を切るのです。

ここまで読んで、次のような感想を持たれたかもしれません。

利己的な人は、周りを全部競争相手として、信用しない。
この方針は頭を使わないので簡単。
また、負け組の利他的な人は、周りの人全部を信用し続ける。
この方針も頭を使わないので簡単。

しかし、勝ち組の利他的な人は、他人を信用したり、距離を置いたりする。
だから、勝ち組になるためには、他人を見る目や人間観察力が重要ではないか?
人間観察力がない人は、勝ち組になれないのではないか。

確かに、一発で人間の本性を見抜くことができれば、それに越したことはありません。

ただ、高度な人間観察力がなくても、人間関係について以下のような一定のルールに従って行動することで、だいぶ勝ち組の行動に近づくことができます。

ルール1
他人に対して、最初から大きな期待をしない
(いきなり大金を課したり、保証人になったりはしない)

ルール2
他人に対して警戒しすぎずに優しく接する


利己的な人にとって基本的に他人は信用できない競争相手ですから、ルール2のような態度が取れません。
その結果、自分とごくごく親しい人たちだけのタコツボに入って孤立してしまいます。

一方、負け組系の利他的な人は、最初から他人に大きな期待をして簡単に人を信用します。
なのでルール1のような態度が取れません。

そして、次のルールも大切です。

ルール3
一度裏切った相手や、信用できない人物であることが判明した場合には距離を置く。

利己的な人は最初から他人を懐に入れませんから、ルール3については心配ないですね。

一方、負け組系の利他的な人は、一度裏切られてもなかなか人間関係を切る決断ができないので、ずるずると利用され続けます。
ルール3のような態度が取れないのです。

ちなみに私はどのタイプかと言うと、基本的には利己的だが、気まぐれに人を信用しすぎて、痛い目にあっても裏切られても人間関係を切れない負け組タイプという面も持ち合わせています。
俺、駄目じゃん・・・