ブラック企業と自称進学校

ブラック企業」という言葉は流行語の枠を超え、

すっかり定着した。

 

2013年頃に流行語大賞のトップテンに入ったが、

匿名巨大掲示板2ちゃんねる(今は5ちゃんねる)では

もっと前から使われていた用語である。

 

大げさな言い方をすれば、

世の中の方が、

ようやく5ちゃんねるの流行に

追いついたともいえる。

 

もっとも、その5ちゃんねるも

利用者の高齢化が進行し、

若い人たちはだいぶSNS

シフトしてしまっているようだが。

 

ところで、現在、5ちゃんねる等では普通に使われているが、

世間的にはまだ認知されていない言葉がある。

そのひとつが「自称進学校」だ。

 

「自称進学校」という言葉には、

「本当の進学校」とは違うという

強い皮肉が込められている。


「自称進学校」は偏差値的には、

平均よりも上位にあり、大学進学率も高い。

しかし、生徒に自由がなく、教師も強権的である。

 

具体的には、以下のような特徴がある。

 

・土日や放課後などの補習が多く強制参加

・宿題、小テスト、定期テストが大量に課題として出される

・文武両道を強要される

・進路を自由に選ばせてもらえない

・学校で指定された問題集の解答が配られない

 

こんな学校は、勉強などしたくもない

生徒にとって、つらいだろう。

 

しかし、もっとつらいのが、

自主的に勉強したいという

強い意欲がある生徒である。

 

基本的に勉強というものは、

自分でどんどん進めるのが一番効率がいい。

 

強制参加の補習やら山のような宿題やらがあると、

自分の勉強時間など無くなってしまう。

 

そんな仕打ちに合うぐらいだったら、

進学校でもなんでもない、

ごくごく平均的な、普通の学校に

通う方がずっとやりやすいだろう。

 

しかし、「自称進学校」の真の恐ろしさは、

自分で自由に使える勉強時間を取られてしまうことよりも、

教師の価値観に「洗脳」されてしまうことであろう。

 

「自称進学校」では、

自分で創意工夫して勉強の予定を作り、

自分自身で納得して教材を選択しようとする生徒は、

徹底的に批判されるらしい。

 

だが、受験勉強のすべてのベクトルは、

受験合格に向けられるべきである。

それ以外のもの、例えば、

学校の先生の関心を引くための宿題などは、

不純物にすぎない。

 

しかし、「自称進学校」では、

特に真面目な生徒の行動は、

受験で結果を出すことではなく、

「学校の先生に評価してもらう」

「学校の先生の関心を引く」

という目的のために最適化される。


これも度が過ぎると、

受験合格からどんどん遠ざかっていく。

これでは、本末転倒である。

 

学校の先生に逆らってでも、

自分の意志を貫いて

勉強のプランは自分で組んでいくべきだ。

 

だが、いちばん身近な大人である

教師たちからの批判にさらされて、

それでも動揺せずに初志を貫ける高校生が

いったいどれぐらいいるであろうか。

 

幸い、「ブラック企業」は社会問題になり、

ネットスラングを超えて

世間一般に広く認知されるようになった。

 

そのため、会社からの洗脳から解放されて、

「自分の会社はブラック企業なのではないか?」と

疑うようになった会社員も多いだろう。

 

素晴らしいことである。

 

同様に、「自称進学校」も、

マスコミ等で取り上げられ、

広く社会に認知されるようになってほしいものである。

 

洗脳されている高校生が救われるためにも。