子供はいまこの一瞬を懸命に生きている!

知っている人も多いかもしれないですが、マシュマロテストというものがあります。
子供の自制心をチェックするためのテストです。

このテストを受ける子供は、マシュマロを与えらえます。
15分間食べないで我慢したら、追加のマシュマロがもう1つもらえるのです。
我慢できずにマシュマロを食べてしまった子供は1個しかマシュマロを食べられませんが、我慢できた子は2つのマシュマロを食べることができます。

4歳の子供の場合、15分間我慢できた子供は3分の1程度だったそうです。

そして、その後の追跡調査で、マシュマロを我慢した子供の方が、我慢できずに食べてしまった子供よりも、社会的な成功を収めたそうです。

この実験結果については、近年は疑問も呈されていますが、「自制心が強い子供が社会的に成功する可能性が高い」という感覚は、世間一般の人の多くが持っているように思います。

実際、世の中のお父さん、お母さん方の中には、将来を見据えて社会的に成功するために一生懸命勉強しなさいとお子様方にアドバイスされる方々が実に多いですね。

ただ、こういったアドバイスがどれぐらい効果があるのか、疑問を感じてしまうのですよ。
そういわれている子供たちのうち、果たしてどのくらいの子供たちが、実際に、将来を見据えて努力することができるのでしょうか。

「遠い将来の成功」なんてものは、社会を全然知らない子供たちの多くにとってはあまりにも対象が遠く、現実感がありません。

上の実験でも、子供が我慢できた時間はせいぜい15分間です。
「もう1つのマシュマロ」という実にリアルでわかりやすいご褒美があっても、わずか15分間の我慢ができない子供が多かったのです。

それなのに、「将来の自分の成功」などという曖昧でよくわからないモノのために、延々と努力して勉強し続けることができるわけがないと思うのです。

我々大人に当てはめて考えてみましょう。

我々は、自分の昇進だったり、周囲からの賞賛だったり、異性にもてるため、あるいは家族を守るために日々の仕事を頑張ります。

いずれも我々大人にとっては、生々しくリアルな利益です。
だから頑張れます。

我々が、仮に、「人類に貢献するため」とか、「世界平和のため」のような高尚な目的のために頑張りなさいと言われて、どれだけの人が奮起できるでしょうか。

よほど志が高い人を除いて、殆どの人が頑張れないと思うんですよね。

「人類への貢献」「世界平和」は、素晴らしいことではあっても、我々にとっては遠すぎる対象だからです。

人は、あまりにも遠い対象のために頑張ることはできないわけです。

なので、子供を奮起させたいのであれば、子供にとっては、「将来のため」などという遠い対象ではなく、もっと生々しいリアルな目標を差し出してあげるべきでしょう。

例えば、次のテストで成績や順位があがったら、ゲームソフトを一つ買ってあげる。
あるいは、美味しい焼き肉を食べに行く。

え?

即物的すぎますかね・・・

効果があるんですけどね。

では仕切り直します。

一番望ましいのは、親子で一緒に勉強して、子供と「わかった!」を共有することですよね。
分からなかったこと、できなかったことが、分かるようになる、できるようになるのは、子供にとっても大きな喜びです。
横にいる親から、すかさず「すごいじゃん」「やるじゃん」と褒めてもらえれば、なおさら嬉しいですね。

遠い将来のために頑張ることはできなくても、目の前の課題をクリアするためなら、一生懸命頑張れます。

なにしろ、子供は、今この瞬間を懸命に生きているのですから。